気密測定とは住宅に存在する『あってはならない隙間』の総面積を、専用の機械を使って測定する事です。
建物内の空気を強制的に排出して測る減圧法と、逆に吸入して測る加圧法があります。
ちなみに弊社では前者を採用する事が多く、後者を行うことは滅多にありません。
減圧法のしくみを簡単に説明してみます。
送風機で建物内の空気を排出すれば、建物内空気は少なくなります。
その際に気圧も下がります。
全く隙間がなければ、気圧は下がり続ける筈ですよね。
送風機の性能にもよりますが、さすがに建物内が真空状態になる事はありません・・・。
でも建物内外の気圧差(内外差圧)は大きくなります。
逆に隙間が大きければ、内外差圧はほぼありません。
出した空気の分、点在する隙間から外気が入ってくるでしょ?
窓を開けた状態と一緒ですから。
せっかく冷暖房をしても、外気が入ってきたら意味ないでしょ!
また冬季であれば、壁の中や天井裏の湿った暖かい空気が冷たい外気に当たって結露する事もあります。
これを内部結露と言いますが、建物を健全に保つ為には絶対に無くさなければならない現象だと思います。
窓であれば閉じる事が出来ますが、隙間を閉じる事は出来ません。
だから、可能な限り小さくしなければならないんです。
でも建物に点在する『あってはならない隙間』って、気密測定をしなければ確認出来ません。
つまり気密測定を行わない限り、建物を健全に保てるかどうかがわからない訳です。
気密測定の重要性、わかってもらえたでしょうか?
測定器のセッティングを終え、試運転の様子を撮ってみました。
測定は毎度お馴染み、コーナー札幌㈱のK氏にお願いしました。
私自身、気密測定技能者の有資格者です。
でも測定は、第3者にお願いするようにしています。
その方が信用できるでしょ!
この後、K様ご夫婦にK氏を紹介し測定を開始しました。
写真は、測定前に行うレクチャーの様子を撮ったもの。
ちなみにオレンジ色をしているのは、窓に張ったビニールシートです。
窓は開いているので、シートがガラスに代わり、外気に接している状態となります。
送風機がOFFの状態だと、シートはたるんでいます。
でもONにすると、段々室内側に膨らんできます。
室内の気圧が下がるので、外気に押されて膨らむ訳です。
シートの膨らみ具合を手で触ってもらうと、みんなビックリします。
指で弾くと、風船みたいに弾力があるんです。
「外皮全部に等しく、この圧力が掛かっている事になります。」
K氏が説明しています。
気圧差って、案外凄いんですよね・・・。
その後、送風機の風量を上げながら内外差圧の動きを見てもらいます。
もちろん、内外差圧はどんどん大きくなります。
ある程度の内外差圧になったら、一旦風量を固定します。
そして窓を少し開けます。
「あっ、減った!」
窓を開ければ隙間は増えるでしょ?
隙間が大きければ、内外差圧は少なくなるんです。
でも窓を閉めると、すぐに戻ります。
「あっ、増えた!」
これが気密測定のしくみです。
そして、これを体感するのがレクチャーの目的という訳。
その後、測定が始まります。
差圧の上がり具合を見ながら、5ポイントの通気量を計測します。
計測が済んだら、機械が勝手に隙間の合計面積を算出してくれます。
なお測定結果は、その場で確認する事が出来ます。
レシートに印字されるので、記録する事も出来ます。
ちなみに、測定自体は最低3回行う事になっています。
そして3回の平均を計測結果とします。
でも、お施主様に立ち会ってもらうのは大抵1回だけ。
1回目と3回目の測定は私とK氏で行い、2回目を見てもらう事が多いんです。
1回見れば、わかるでしょ!
測定によって確認できる隙間の合計面積を総相当隙間面積と言います。
例えば1回目の場合、この値は38㎠でした。
この値を床面積で除した値がC値となります。
ちなみに床面積は115.11㎡ですから
C値=38㎠÷115.11㎡≒0.33㎠/㎡となります。
小数点第2位以下を四捨五入して、少数点以下第1位までを表示するのがC値のルールです。
よって、C値は0.3㎠/㎡となる訳です。
C値が小さいほど気密性の高い住宅となります。
昨今の傾向としては、C値=1.0㎠/㎡を切る住宅≒高気密住宅と言えそうです。
3回計測した結果は、C値=0.3㎠/㎡。
ちなみに弊社の標準的な値でした。
でも以前に中間時気密を測定していた頃は、C値は0.1~0.2㎠/㎡以下が普通だったんです。
実は完成時気密って、中間時よりも若干C値が大きくなります。
完成時だと、エアコンドレンやLAN配管・TEL配管用のCD管の穴を塞ぐ事が出来ないでしょ?
その分、値が大きくなっちゃうんです。