こうした費用って、一般的には坪単価に入っていないからです。
2025.02.06
昨日の拙ブログの続きです。
せっかく家を建てたのに、予算の関係で、理想とはほど遠い家になってしまった・・・。
こんな事にならないように、注意しましょう!
今回は、坪単価について少し詳しくお話したいと思います。
坪単価を建物面積(坪)に掛ければ、建物の金額を算出する事が出来ます。
誰でも簡単に建物金額を計算できる訳ですから、便利ですよね?
でも坪単価って建坪に応じて異なる場合が多いし、アレは別、コレも別なんて事も多いんです。
そのカラクリを少しだけ、解き明かしてみたいと思います。
坪単価が変動する最も単純な事例をご紹介します。
何坪の家を建てても、キッチンセットや浴室などの水周り設備は必要です。
逆に、家が大きくなったからと言って、これらの数が増えるケースって稀だと思います。
仮にこれらのセットに200万円掛かるとします。
25坪の家であれば、これは坪当たり8万円に当たります。
そして50坪の家であれば、坪当たり4万円に当たります。
これだけで4万円もの差が発生します。
同じように玄関ドアや階段の数、建物の規模の大小で変わらない物ってたくさんありますよね?
だから小さな家ほど、坪単価は高くなりやすいんです。
また、建物の形によっても坪単価は変わります。

たとえば、4間×5間で20坪の家と、10間×2間の同じ20坪でも細長い家では、工事する壁の長さが違います。
前者は18間分の壁の量に対して、後者の細長い家では24間分の壁が必要になります。
壁だけでも、3割以上余分に工事費がかかる訳です。
また四角い建物に対して角が欠けた建物では床面積は少なくなりますが、外壁の長さや面積は全く変わりません。
工事をする面積と床面積が違うので、小さい家や変形した家は、坪単価が高くなる訳です。
さらに、平屋と2階建てでも同じことが言えます。
40坪の平屋と2階建てでは、同じ床面積でも、平屋では40坪分の基礎と屋根が必要です。
総2階の家であれば、20坪分の基礎と屋根で事足ります。
大雑把に比較してみたいと思います。

①②③、3つの平面で比較してみましょう!
①は床面積:2.25坪/壁長さ:10.92m
②は床面積:1.50坪/壁長さ:9.10m
③は床面積:1.75坪/壁長さ:10.92m
となっています。
壁長さ1m当たりの金額を10万円
床面積1坪当たりの金額を10万円
天井面積1坪当たりの金額10万円
特に根拠のない金額ですが、この金額で弾いたそれぞれの合計金額はこうなります。
①154.2万円(68.5万円/坪)
②121.0万円(80.6万円/坪)
③144.2万円(82.4万円/坪)
()内の数字は、それぞれの坪単価を示しています。
結構違うでしょ?
今度は2階建てで比較してみましょう。

①②、2つの平面で比較してみましょう!
①は床面積:2.25坪/壁長さ:10.92mの上に床面積:1.75坪/壁長さ:10.92mを載せました。
②は床面積:1.75坪/壁長さ:10.92mの上に床面積:1.75坪/壁長さ:10.92mを載せています。
①は下屋付2階建て、②は総2階建てをイメージしています。
コスト削減の為に、1階をそのまま2階を減坪したのが①。
1・2階ともに減坪した②で比較してみたいと思います。
ちなみに緑の部分は下屋となります。
先程の要領で坪単価を算出すると、こうなります。
但し2階床は基礎工事が無い分、坪あたりの金額を▲5万円しました。
①75.2万円/坪(300.8万円)
②79.9万円/坪(279.6万円)
ちなみに2.73×2.73の総2階の場合の金額は66.0万円/坪(297万円)になります。
あくまでも数字遊び、金額自体に根拠はありません。
でも坪単価の危うさは伝わるでしょ?
何が言いたいの?
という方も多いと思います。
結論を言います。
坪単価なんて、何の目安にもなりません。
ちなみに弊社では、詳細見積もりを提示し、その金額を延べ床面積(坪)で割った金額を坪単価として提示する位かな・・・。
「見積もり金額を建坪で割ると、○○万円/坪になります。これがいわゆる坪単価です。」
「でも、何の意味もありません。」
「建坪を小さくするのなら、改めて詳細見積もりを行います。」
「減坪したから、○○万円/坪×▲坪で○○円下げられそうだね!なんてことは無いので、ご注意ください。」
なんて説明を必ず付け加えるようにしています。
最後に建物費用についての補足して締めたいと思います。
建物費用は大きく5つの費用に分かれます。
①材料費~梱包単位の材料費となります。
定価×値引き率(%)で表示する場合もあります。
12本入りの木材を1本使いたくても、12本分の費用を計上するのが一般的です。
残りを返品・結束・搬出・倉庫保管するのであれば、却って余計な費用が発生する事にも成り兼ねません。
②施工費~加工・組立て・取付等の手間賃です。
工事日数×一人当たりの日当で計算するのが一般的。
半日仕事であっても、3人で工事を行えば日当×3人の費用が発生します。
③運搬費・搬入費・荷受け及び検収費・保管料
現場までの送料と使用する場所まで運ぶ費用が運搬費&搬入費。
最近は担ぎ屋さんを利用する事が増えました。
荷物を受け、確認するのが荷受け&検収費。
この段階で傷の有無や不良品が見つかれば、大抵は無償で交換してくれます。
逆に受け取ってしまうと、交換は有償なんです。
事前に受け取り、別の場所で保管すれば保管費が必要です。
また、この場合は保管場所から現場までの運搬費が別途必要となります。
④産業廃棄物処分費~梱包資材や発生残材・ゴミを収集し、中間処分場へ搬入、処分するための費用です。
⑤そして、建設会社の経費も必要です。
この中には、社員の給料や事務所家賃・光熱費・福利厚生費・各種保険費用や税金・将来への投資 等が
含まれています。
また下請け・孫請けに発注する場合であれば、それぞれの工事費の中に、これが含まれています。
最近は社員の給料を上げるように国から指導されるようになりました。
でも給料を上げれば経費が増え、建物価格がさらに上昇する事になります。
国に言われて、ハイそうですか!という訳にもいかないんですよね・・・。
そして、それぞれの費用は次の2つの要素を持っています。
・材料の多寡および施工の量によって変動しない部分。
・材料の多寡および施工の量によって変動する部分。
この為、『最低金額を設定し、この金額以下の場合であればこれを計上
これを超える場合であれば単価×数量で計上する』という見積方法も一般的になっています。