今では当たり前の『通気層工法』の歴史を書いてみました。
2024.12.06
以前にも似たような投稿をした事がありますが、だいぶ時間が経ったので改めて投稿したいと思います。
今では当たり前のように施工されている『通気層工法』ですが、その歴史をご存じでしょうか?
そもそも通気層には室内から出た湿気などを排気して、常に乾燥状態を保つことで結露を防止する役割があります。
1990年頃は通気層をつくらず防水シートの上に直接外壁を張る「直張り工法」が採用されていました。
しかし直張りには空気の通り道が無い為、屋内から出た空気を排気できません。
カビが生えてしまったり、溜まった湿気が外に出ようと動くせいで外壁が剝がれてしまったりと様々な不具合が出てしまったのです。
そこで2000年以降は、通気層をつくる外壁通気工法が普及し、ほとんどのハウスメーカーや工務店が採用するようになりました。
日本住環境㈱の頁から文および図を転載させて戴きましたが、ここにも開発者の名前がありません。
転載元を貼っておくので、ご自分でご確認ください。
ここからが本題です。
時は1981年4月、 北海道札幌市に本社を置く松本建工㈱と旧㈱木の城たいせつが共同で、通気層工法を開発。
旧㈱木の城たいせつは既に事業を停止している為、松本建工㈱が開発者と名乗っても問題ないそうです。
日本で最初に通気層工法を開発したのは、FP工法を開発した会社(後のFPコーポレーション)だった訳です。
前年に行われたフィンランド視察にて『断熱材内の結露を防止する空間』が設けられているのを知り、それを参考に研究・開発したそうです。
-30℃まで下がる極寒の地フィンランド。
しかし家の中では子供から大人まで半袖シャツ×1枚で快適に暮らしています。
その理由のひとつが『空気層で家を包む発想』でした。
北欧の住宅では、断熱材を入れて終わりではありません。
壁の中に入った水蒸気を逃がすことも考えていたんです。
外壁と内壁とを隔てる『空間』をつくり防湿層を設ければ、湿気の侵入を抑える事が出来ます。
万が一、壁内結露が発生しても上昇気流で乾かす事が出来ます。
これを『通気層工法』と名付けました。
新住協の鎌田先生(室蘭工業大学名誉教授)の北海道室蘭工業大学にも、様々な研究でお世話になったそうです。
その結果、壁内結露に対し初めての具体的な対策を行う事が出来ました。
この時に透湿防水シートの導入も図られたとか・・・。
その後、さらなる改善を求めて、試行錯誤の日々が続きます。
FPの家では、ひたすら経年による断熱・気密性の劣化や壁内結露のない家づくりを続けて来ました。
FPウレタン断熱パネルの試作開始が1985年の4月、FP工法の販売開始が同年9月なんだそうです。
これが現在のFP工法に繋がります。
FPの家をつくる全国の工務店の力も大きかったと言います。
それぞれの地区で集まり、夜を徹して改善活動を繰り返したと言います。
さぞかし熱い討論だったんだと思います。
熱い仲間同志って、良いですよね。
世に出始めてから既に39年、様々な工夫が加えられているとは言え、FPパネル自体は基本的には変わっていません。
もちろん性能は向上したし、枠材には国産材を利用するようになりました。
木部にホウ酸処理も行うようになったし、科学的な検証も進められています。
でも、基本はずーっと一緒なんです。
これって、地味にすごくないですか?
私は凄いことだと思っています。
だからこそ、先人達の努力と結果を次代の人達に伝えたいと思います